忍者ブログ
2017.09 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

プロフィール

HN:
赤髪の人
性別:
非公開
自己紹介:
マビノギ鳥鯖の何処かに出現。
新規でも楽しめるならそれで良いと思ってる楽天的パナッシュ。

マビノギ自キャラ紹介
ブログ内の色々な目次

カテゴリー

年間アーカイブ

→2013年
→2012年
→2011年
→2010年
→2009年

ブログ内検索

RSS

著作権表記

●マビノギ&マビノギ英雄伝
Developed by devCat Copyright (c) Nexon Corporation and Nexon Japan Co.,Ltd. All rights reserved.

●FNO
(c)2010 X-Legend Entertainment Corp. All Rights Reserved.
(c)2011 Vector Inc. All Rights Reserved.

●MoE
(C) Willoo Entertainment Inc. / HUDSON SOFT 株式会社ウィローエンターテイメント及び株式会社ハドソンの著作権を侵害する行為は禁止されています。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2017/09/26 (Tue)

Unlucky - 2.強襲

 カタンコトンとガラス瓶を奏でながら駆け抜けていく。
 イメンマハの西側に位置する門をくぐり、林を抜ければそこは巨大なブドウ園が広がっていた。此処周辺の地域は湿った気候であることが多く、その為か夏になれば少々涼しげに、冬はあまり乾燥することがないそうだ。
 幸い雨も何とか持ち応えているようで、湿気を漂わせているものの雨に濡れるのはまだ先と思えた。

 「バンダナ、こんなことして良いのか?」
 「何がだ。」
 「馬1頭増やしていることだよ。わざわざこうしなくともバンダナが馬に乗って操れば良い話だろ。」
 「黒星が操縦出来るなら何の問題も無い。」

 馬が1頭追加されても器用に操っている、黒星と呼ばれた少年は、尚も不満そうに眉をよせた。
 黒星……実名は星川スバル、それぞれの愛称で呼んでもらうように希望して親しまれている。
 青年がそう呼ぶ由来は単純、少年が身に着ける軍服や髪の色、ほとんど墨汁で塗り潰されたように黒いからだ。そして星は勿論実名からとなるが、それとは別の理由がある。あるはずなのだが、問い詰めても青年は決して口にしようとはしなかった。

 イメンマハから出発する時、交易所で仕事する魔族の目を盗んで青年は馬を1頭追加してきた。薄い金色に光る綺麗な鬣に、人の肌程白い皮膚を持つ馬。交易で駆け巡る馬は黒い鬣に、日に焼けたような焦げ茶の皮膚……。つまり一目で違法と認識されるが、青年は全く気にしない様子で平然と紐を繋いできた。手綱は交易で使用される馬より遥かに細い。
 流石に黒星も止めに入るが、重量オーバーであることをかなり気にしていたらしく、聞く耳持たなかった。

 「慎重に操縦しろ、荒い。」

 黒星の隣で、赤い髪を青いバンダナで掻き上げている青年が腰かけている。実名は柳火と言った。
 知り合ったのは丁度半年前、黒星が現在所属している組織、ギルドに加入申請する冒険者が現れた。その前後でもちょくちょくと加入希望の申請が届いていたのだが、インパクトを与えられたのは旅の歴と言うところだろう。新規加入者募集の枠に、ベテランな冒険者と言う項目を入れていなかった為、驚きもした。
 その加入者が彼、柳火なのである。

 当時は現在の目的地タラや、先ほど訪れたイメンマハ、多くの冒険者が立ち寄るダンバートンで物騒な事件が相次いでいた。組織のリーダーやメンバーも少なからず不安を抱いていたようで、柳火の加入を歓迎する。だが、その時黒星は警戒心を解けずにおり、数ヶ月に渡って聞き込みに近い行動を繰り返していた。物騒な事件の関係者では無いかと、ベテランの冒険者がわざわざこんな時期に、しかも新米な冒険者ばかり集うギルドに入るものかと。
 結局聞き出してもそれらしい答えは出ず、事件は何事も無かったかのようにピタリと止んだ。
 真相は分からないままであるのが、何とも歯がゆい。

 「りょーかい。」

 黒星は如何に面倒臭そうに返答する。
 今このように接していられるようになったのは、ある1つの確信を持ったからだった。

 「馬車を止めろ!」
 「え……。」

 不意に叫ばれ、黒星はすぐさま馬車を停止させる。幸い、危険を察したのが早かったのか、馬の目と鼻の先に何か細い物が通り過ぎて行った。地面に深々と刺さったそれは、何の変哲もない矢。
 柳火は鞄から携帯用ナイフを取り出し、荷物を引く馬の内1頭を繋いでいた細い手綱を切る。自由になった1頭の馬は、怒りを露わにしているよう矢が飛んできた元へと突進していった。

 それを見送る間もなく、背負っていた内1つである真っ赤なクロスボウを取り出した。黒星も警戒心を一気にピークまで高め、腰にかけていた金属の筒、シリンダーと呼ばれる物を右腕に取り付ける。
 黒星が得意とする戦い方は、その金属の円柱とそれに装填する魔法の結晶が無ければならない。それは柳火も同じで、弓とそれに合った矢が無ければまともに戦えないのだ。最も、2人は他にも得意な戦い方があるのだが。

 ブドウ園に紛れて分からなかったが、勇敢に立ち向かった馬が暴れ、混乱に陥った焦りの声によって詳しい場所を突き止める。そこで黒星は気が付く。馬を1体追加しておいたのは重量にもある、だが護衛の役割もあったのだと。

 「おいおいインプ、お前が知らせてくれないでどうするんだよ。」

 交易品からひょっこりと姿を現した小さな生き物を睨みつけるが、相手はいつもの調子で恐怖の微塵も感じられない。

 「僕悪くないよ、それほど略奪団隠れるの上手い。」
 「……っ!」

 その言葉に黒星は身を凍らせた。

 平然とするインプの態度見ると実に腹立たしいが、言うことに嘘は無い。交易が盛んな最近は、横取りする相手も実践を重ねるにつれて体が覚えてくる。どうすれば上手く距離を詰められるか、どうすれば早く荷物を盗めるようになるか。そして月日を重ねるにつれて、それに関する知識を熟知してくる。
 そして、出し抜かれた答えは。
 『長旅で疲労を感じ始めた時が狙いやすく、狙われやすい。』

 「あれ?」

 略奪団が姿を現した時、黒星はふと声を上げる。略奪団特有の黒いハンタースーツを制服に、インプや亜種族である魔族ゴブリン、人間までもが組んでいる……のはそれほど珍しくない。だが目を止めたのは何の変哲もないジャイアントで、記憶のどこかに引っかかる。
 目つきが鋭く、紺色の短髪を後ろに掻き上げており、同じ色のヒゲを豪快に生やしている。狂戦士と思わせるビリビリとさせるオーラは、日頃の恨みを募らせたようにも見えた。その視線は、柳火へと向けられている。

 「貴様、先ほどはよくもやってくれたなあ!!」
 「逆恨みされても困る。」

 ジャイアントが放つ、雄叫びに近い言葉ですぐさま理解する。そして黒星は小さく溜め息を吐いた。
 「不幸だ」と本日3度目の呟きとなるが、それはまたもや巨人族による咆哮で消える。
 彼がリーダーなのか、合図と同時に子分らしき略奪団が一斉に突進してきた。



 敵はリーダーを含め6人、標的はほぼ全員柳火へ向けられており、そしてその標的は赤いクロスボウを深く構え照明を合わせている。黒星は予め用意していたシリンダーの中から、青白く火花を引き起こした弾を彼へ飛ばした。スッと柳火の体内に吸い込まれ、その瞬間。
 ―――バチッ
 体が青白い火花に包まれ、空気を鋭く裂いて相手に青い電流がほとばしる。その衝撃で足を止めた瞬間、彼の餌食になる。柳火はピタリと合わさった目標に向かって光のような速さで一線、インプの腹を鋭く射抜いた。

 その様子を見届けると、ひらりと体を回転させながら後退する。あと1秒反応が遅れていれば、黒い軍服がどす黒く染まることになっていたであろう。戦闘用の斧と頼りなさげな円状の盾を持ったゴブリンが、黒星を狙い真正面から走ってくる。
 黒星は素早くシリンダーに次なる結晶を数個放り込み、筒の口を走ってくるゴブリンへ向けた。すると魔法を封じていた殻が破け、真っ赤に燃え上がる炎を噴き出し、火だるまの状態にする。悲痛な声が上がるが、黒星は慣れたように無表情だ。

 「今ボクは機嫌悪くてね、恨むならリーダーを恨んで。」

 そして火炎放射が終わりを告げると、すぐさま両手に金属状の物体をはめて強く拳を握り、フェイントを掛けながら小走りで突進した。胴体に1発拳を入れ、隙を与えずに強力な回し蹴りを4度。
 サンドバックの如く殴られ、既に意識がもうろうとしているにも関わらず、黒星は動きを止めずに華麗に宙を舞う。地面と体を平行に、閉じて折り曲げた両足で、勢いよく相手の胸を突き飛ばした。その余波か柳火をターゲットにした敵も、何名かその巻き添えを食らわせた。

 黒星は重力に引きずり込まれ、地面に倒れ込んだ体を身軽に起こす。

 「また厄介な人に喧嘩売ったなバンダナ。」
 「……すまなかったな。」

 柳火にまとわりつく電流も消えかかり、だがそれも必要無くなる頃だった。2人と同じ種族である男性は既に地面に倒れ込み、弓を扱っているらしき亜種族も仰向け大の字で気を失っている。そして辛うじて立っている下僕の巨人族に、青白い光が飛ぶ。

 ―――プシュッ
 音は何とも頼りない。赤いクロスボウから発射されたボルトが、右の腿に浅く命中した。
 だがそれだけじゃ終わらない。空気中に漂う魔力……マナによって浮遊させた数本のボルトの内の1本を素早く手に取り、再び腿へ、右腕へ、脇腹へ。徐々に速くなり、ボルトは深く食い込むようになる。そして最後の1本はノリに乗った勢いで、右胸に鋭く射抜いた。

 「ぐあぁ!」

 痛みと勢いに耐えられなくなった相手は悲鳴を上げ、豪快に後ろへと倒れていった。

 そして休む間も無く柳火はクロスボウを背にやり、入れ替えるように取り出したのは、まるでトンカチを大きくしたように攻撃性を徹底的に強化したハンマー。そして左手には、円状で分厚く作り込まれた鉄の盾を持った。
 いつの間にか視界から消えたリーダーであるジャイアントは、どうやら連れと戦っている間目を盗み、交易品に手を伸ばしていたらしい。既に逃走を図ろうとしていた数秒前、盾を前に構え凄まじい速さで突進してきた者によって阻まれた。
 黒星もそれに習い支援に向かおうとした。

 「……っ!」

 しかし足はまるで石のように重く持ち上がらない。ぐらりと歪む視界と遠ざかる意識に、黒星は舌打ちをする。「不幸だ」と、絞り出されて掠れた声。結局地面に付けたままの足は、そのまま重力に耐えきれなくなったようにガクリと膝を折った。
 ふと敵と目が合い、黒星は見開く。不敵に笑う口の端に背筋が凍る。子分は大したことではなかったが、それでも敵は熟練した略奪団なのだと思い出した。思い出したところで体は思うように動いてくれず、どうしようもならないが。

 そして次顔上げた時には、目と鼻の先には『彼』が居た。
 一体あの距離から、位置からどのようにして一瞬で距離を縮め、目の前に背を向け立ったのか分からない。
 だが、あの時と同じ光景だと、遠ざかる意識の中黒星はふと笑う。

 「柳火、後は頼んだ……。」

 容赦なく襲う空腹と睡魔に、ゆっくりと地面へと倒れた。



 12/06/15

拍手

PR
2012/06/15 (Fri) マビノギ